太極拳の楽しみ

サークル活動

宿山亀寿会会員 浅田昭司

ゆっくり動く

私が初めて太極拳を経験したのは、社員旅行で香港に行った時だと思います。朝、散歩していると公園から音楽が流れ、大勢のおじいさん、おばあさんが太極拳を楽しんでいました。

私はその中に入り込み、前後左右の人の動きに見よう見まねでついていきました。皆さん、日本からの旅行客だな、初めての体験だなとほほえましく見守ってくださっているのを肌で感じました。その温かさは気持ちの良いものでした。ゆっくりした動きなので何とかついていけるものです。

定年退職が近づいたころ、老後の趣味を見つけようと、知り合いが東山社会教育館でやっていた太極拳に仲間入りしてみました。ゆっくりした動きなのに、体の中からじわじわと温まってくる感触が妙で健康に良さそうだと直感を得ました。

私はもともと低体温で朝計ると35度6分ぐらいでした。太極拳を続けて10年の今は、36度5分と一度上がったことになります。

ゆっくりした動きなので、高齢者にはうってつけのスポーツです。ただしへたをすると膝への負担で膝を痛めますので、資格を持った指導員に習うことをお勧めします。

お互いが鏡になって

その時の仲間の姿は、一人一人が輝いているという印象でした。先生は1人1人の鏡を磨いているとおっしゃっていました。うなずけました。

一人一人が鏡になってそれぞれが輝き、その輝きが周りの人の鏡に反射してお互いに輝きを増し、輝きが満ち満ちている、そんな世界でした。1週間に一回では技を身に着けるのが難しく悩んでいた時に、かつて犬の散歩で訪れた菅刈公園でそういえば毎朝太極拳をやっているなと思いだし、仲間に入れてもらいました。

上手な人が左右で舞っておりそれを手本に毎朝練習しました。公園に散歩に来た婦人で、「太極拳をやっている人の目がきれいだ。この人たちだったら私も仲間に入れるかもしれない」と始めた方は、今は亀寿会の太極拳にも通っています。私はいつの間にかその中心メンバーになっていました。

日常生活へのお役立ち

私は退職後、シルバー人材センターに入り、公園の管理・清掃を10年近く続けています。竹ぼうきで掃く作業は、ゆったりと大きく少しずつ場所を進めるので、太極拳とよく似ています。

仲間は私の掃き方を太極拳掃法と呼んでいます。 太極拳のはしりもお坊さんが寺の庭を掃除をしたところから始まったという説もあります。

現役時代のオフィスでの仕事から公園での仕事に代わり、体重が1年で5キログラム減りました。

太極拳では左手、右手、左脚、右脚と動き続けますが、頭の体操にもなりますし、脚が手のように触感をもつようになります。
おかげで自宅の狭い部屋の中で、脚にちょっと線が引っ掛かりそうになるとわずかな感触で引っ掛からないように予防できています。年を取るとこけることで入院を強いられ、場合によっては寝たきりになる恐れがあります。
「太極拳は青春を長く留めおく」と言いますが、若返りの特効薬にもなります。

まあるい太極拳

田舎に住んでいる4歳年上のいとこが太極拳をやっており、段級を取っているという話に刺激され、私も取り始めました。5級から始まり4段まであります。順調に取得が進み、昨年の暮れに3段を取得、今年の10月に4段一次に挑戦します。受験者は全国に520名います。受かれば来年4段の本試験です。
4段受験セミナーを受講すると、一流の先生の指導を直接受けることができます。北は北海道、南は九州沖縄から受験者が集まり、切磋琢磨します。その中で、体の真ん中のまあるい球に気を集め、その球がまあるく膨らむように、広がるように腕や脚を伸ばしていくという指導を得ました。
これは、老人会の太極拳に役立つな、これなら高齢者が膝を傷めずに太極拳を楽しめるなと嬉しくなりました。今までの私の教え方がどうも体の動かし方を機械的に考えていたような気がして大いに反省させられました。
のびやかに気持ちの良い思いをするそんな太極拳を、「まあるい太極拳」と名づけて亀寿会で展開したいと胸を膨らませる今日このごろです。

 

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